きみのことが好きです / 類司
※死を示唆する描写誰もいない葬式場で、きみのことをそっと覗く。石みたいに硬くて冷たくて、もう熱をもつことのない身体。僕がきみの骨壷を持つことはない。僕はきみのなにものにもなれなかったから。僕はきみのずいぶん近くにいたけれど、それ以上でも、それ以下でもなかったんだ。ああ、僕はやっぱり、きみと最後を約束したかったのかな?最後の約束をしても、死んだきみの重さを知ることはないのだけれど。僕といる時間は楽しかったですか?僕はなにものにもなれなかったけれど、僕ときみの時間は、なにかであってほしいって、そう思うくらいならいいのかな。僕の瞳からとめどなく溢れるしずく、ふと人の六十パーセントが水でできていることを思い出す。これはきみへの花束で、永遠に枯れることのない、僕からきみへの光です。
9月 18, 2022