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No.4

敬良


 どうして今オレの横にいるのはお前なんだろうなあ。やっぱり近くにいるべきじゃないって思うけど、なんだかんだオレはお前と出会えたこと自体は、後悔してないし、むしろ嬉しいんだよ。お前がオレと違ってずっと真っ直ぐで、あったかくて、陽だまりみたいなやつでさ。その暖かい部分を分けてもらえたとき、ジリジリとどこか焼けるみたいに少し痛かった。オレにはできないことをお前はできると思ってるんだけど、同じようにオレには持てないものを生み出せるから、それを受け取ると、悪い反応を起こしたみたいに、黒く焼けて塵になっちゃうんだよな。それでも離したいとは思わなかったよ。だってお前がオレのために分けてくれた部分だったから。嬉しかったなあ。でもオレばっかり嬉しくて、お前はきっと辛いだろうから。オレはどうしてもお前が悲しむようなことしか言えなくて、でも、それを曲げることもできないから。だからさ、ほら、やっぱり隣にいるべきじゃないんだよ。オレの横でぼろぼろ泣いてるお前をみてこんなことばっかり考えてるオレは、お前からしたら酷いやつなんだろうし、自分でもちょっと、冷めてるかもって思うよ。だけどそう思っちゃうからさ。思っちゃうことって変えられないよな。ごめんなあ良輔。オレ、お前にずっと、謝ってることしかできないかも。近くにいてやれなくてごめん。お前の思ったようにならなくて、ごめんな。あーあ、やっぱり、会わなきゃよかったのかなあ、オレたち。

11月 15, 2020