類司
僕は司くんのこと、「 」だと思ってた。
でもそうじゃなかった。そうじゃないから好きなんだ、わかるよ。こんなこと、わかってたはずだった。でもちゃんと自覚した途端、眩暈がするほど恐ろしくなって、耳を閉じたくなる。お前が好きだと言われるのも、気持ちを受け取れないと言われるのも、どちらも恐ろしかった。わがままだってわかってる。僕は司くんに言葉を渡した、渡してしまったのだ。だからその分、言葉を受けとらなければならなかった。与えられた分は必ず返す。天馬司はそういう人だと知っていた。
「司くん」
「気持ちは、ままならないものだね」
何も受け取りたくない僕のことを、馬鹿なやつだと君は笑うだろうか。
2月 06, 2022