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No.17

無能 / 吹雪士郎


 うつくしくいきてね。それがどういうことなのか皆目見当もつかないものだったけれど、うつくしくいきて、とずっと言われていたから、ボクはずっとそうあろうとしていたし、鏡の前で話すお前も、ずっとボクにいいつづけていたよね。ボクは、今もうつくしいですか?凍てつくような寒い冬、止まない吹雪、ボクの中の永遠。全部、ずっと焼けるように痛かった。北ヶ峰のあの場所で、立ち止まったまま、時間だけが過ぎていく。鏡の中のお前は、いつかボクを、跡形もなく殺してしまうのかもしれない。でもボクはそれが許せなかったから。うつくしくいきる。お前の首を絞めることもできないまま、ただ痛みに耐えたまま、そうして夢の中、ボクは。

無能 / österreich より
イナズマイレブン 第45話 を観て

9月 08, 2022