スタカイ
カイルに好きだっていうたびにはいはいとてきとうにあしらわれて幾度目、俺は本気だよっていうと彼女がいるのに本気になるなよと冷たい目であしらわれた。俺はてきとうなんか言ってなかった。カイルの呼ぶ声はいつも特別だったし、持ち前のキレた頭が活躍したときは誇らしかったし、カイルが隣で笑ってるのは嬉しかった。なあ、俺はさ、カイルが俺にとって特別であってほしくてさ。
僕に好きだと言うくらいならウェンディにフェイスタイムでもなんでもしてやれとカイルは言う。正論だ。カイルはいつも、大体正しかった。でもそういうときほんの一瞬、ほんのわずかだけ覗く(ほんとうに、ほんとうにわずかなんだ)落ち着いた目線ににじむ拗ねた様子がお前のほころびみたいで、俺は、少しうれしいって思っちゃうんだよ。
5月 08, 2024