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No.34

薄日 / 原藤


自分の中の記憶と
そう思われているのも当然だという
感情の形が
合わさりきらない
気持ちが悪い

鏡の前に 青白い顔をした自分の顔がある

わざと自分で毒を含んでしまえば
信じるよりも楽だった
あなたの触れた口づけが
存外弱く、かすかなものであったから
どうにもできなくなる
実は原田さんのことが嫌いで
なんてはずもなく
ただ僕のことを
誰かの一番の星にするということが
のみこんでいいことなのかわからなかった

ずっと、ほしかったのかもしれない

傷ついているから
傷口から漏れ出るゆらめきが
瞳から落ちるひと粒が
写した顔がぼやけてしまう
もうすっかり
なにも見えなくなってしまった

10月 19, 2025