薄日 / 原藤
自分の中の記憶と
そう思われているのも当然だという
感情の形が
合わさりきらない
気持ちが悪い
鏡の前に 青白い顔をした自分の顔がある
わざと自分で毒を含んでしまえば
信じるよりも楽だった
あなたの触れた口づけが
存外弱く、かすかなものであったから
どうにもできなくなる
実は原田さんのことが嫌いで
なんてはずもなく
ただ僕のことを
誰かの一番の星にするということが
のみこんでいいことなのかわからなかった
ずっと、ほしかったのかもしれない
傷ついているから
傷口から漏れ出るゆらめきが
瞳から落ちるひと粒が
写した顔がぼやけてしまう
もうすっかり
なにも見えなくなってしまった
10月 19, 2025