風景/回想 / 原藤
隅の方で一人でいるのに、近づいて話しかけたらしょうがないと諦めるみたいに言葉を乗せるから、それがどうしようもなく心地よかった。ぽつぽつと言葉を交わすたび、脆く溢れるなにかが生まれる。それを拾っては手のひらの上で霧散する。平助が心を分けるたび、そうかと相槌をうちながら崩落しそうな城を眺めて、ひとさじの上に乗ったわずか光る霞を口に含んでしまえば、雪解けの春のような味がした。ほころびをもっとよく見せてくれ。陽の光にかざしてみたい。なあ平助、お前の話をきかせてくれよ。
11月 21, 2025