敬良
暗闇が嫌いだ。足がすくんで動けなくなるくらいには。恐ろしくってたまらないこと自体、隠してるわけじゃないけれど、その深い部分にある恐れに触れられるのだけはずっと避けてきて、多分みんなもなんてことないように思ってるはずだ、と信じている。だけど、深い闇の隙間から時折仄かな明るみがみえて、それを向けているのがお前なんだってわかるとき、居心地の悪さと、いいなと思う、他人事みたいな気持ちが思い浮かんでは消えた。ぼーっと見つめていると、お前は「お前にだよ」ってはっきり言うもんだから、何も変わらないね、と思わず口元が緩んでしまう。この馬鹿みたいにうずくまった姿を見せてしまったらどう思うんだろう。まあ、どう思うかなんて関係なく、できれば見せたくないんだけどさ。
1月 21, 2021