text_top

No.15

luck


 夢をみた。ヒロトが森の中で横たわり、そのまま目を覚まさずに風に吹かれ骨まで砂みたいに飛ばされていってしまう夢。俺はどうすることもできずに触れることもなくただ呆然とそれを見ているだけだった。気がつけば夜空に流れ星がたくさん流れ落ちていて、それが隕石ではなく光の粒だということをすぐさま理解する。この粒がヒロトに当たっていたら、なにかの物語みたいに形を失うこともなく命を吹き返したのかな。そんなことを考えてももう目の前にはなにもないのだから、意味がなかった。気づいたら自分にそれが当たっていて、まもなく身体が光に包まれていく。なんで、俺ばっかり。

luck / Serph より

1月 20, 2025