信号だけ見つめた
それじゃあ、とログアウトしていったきみがいた場所を呆然と見つめた。きみのログアウトのその先のことを、よく知らないままで時間が経ってしまったから、なにもいえずにこうして立ち尽くしてしまう。ログイン履歴で存在を確認する。生きているとか、死んでいるとか、そういう大げさな言葉を使ってそこにいるかいないかを判断する。ここは俺たちにとって本当だけど、現実ではないことを知っている。虚像の先の、ほんとうのきみを知りたい。わずかに揺れるきみの結わえた髪を追うみたいに、ドアノブに触れようとして、やめた。臆病だって笑われるかな。目の前の扉はまだ、開けられないまま。
10月 26, 2024