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No.32

沈黙


通り道の施設の庭に
咲いている
すずらんが揺れている
きみの声が
鼓膜をふるわせるのを思い出した
もしたとえば
きみがすずらんだったとして、
きみが俺を毒で殺してしまうのか
きみの手がまた自分の首をしめてしまうなら
否定してあげたかった
誰かのための手だって

すんとした空気が通り抜けて、
小さな痛みがきみのよう
なにも知らないみたいに
通り過ぎる
ぜんぶ
そうしたら、きっと
きみも自由でいられるね

5月 28, 2025