救心
目を開けるとすぐ目の前にリクがいて、よかったあ、と言う。急に倒れたんだよ、本当によかった、としきりに言っては俺の手を包んでいた。触れている手のひらがふるえていたから、リクもこわいことがあるんだと人ごとみたいに見つめる。俺の意識がなくなってしまったら、そうやって手をふるわせながら冷たいからっぽの身体を包んでくれるのだろうか?リクをはかりたいわけではないけれど、それほどまで俺を気にかけてくれるのが不思議だった。反対の手をリクの手の上にかぶせてみたらこっちを見るから、リクのほうが大丈夫じゃないと言ったら、心配したんだよとこぼした。本当に傷ついてるんだ。なんて、さすがに言わないけど。
9月 28, 2025