プライマリ
※リクヒロ+ユキ会ったことないんだよね。なんでもない風に言う親友の言葉に思わず固まって、そうなんだ、と慎重に、できるだけいつも通りに返した。カザミくん、思ったより事態は深刻かもしれないよ。この前会ったときに耳打ちされた「ヒロトくんのこと」を思い出す。
リっくんはなんでもないみたいに振る舞うのが結構上手い。いや、僕が鈍感すぎるだけなのかな?GBNを始めた頃、帰り道に話すリっくんに悩みからすぐ立ち直ったのだと勘違いしていた。実はそうじゃなかったんだけどね。僕はあの頃に比べて、少しはリっくんのことわかるようになったつもり。リっくんがヒロトくんの話をするとき、少しだけ声が固くなるのを知っている。ほんの少しだよ。声にほんの少しだけ緊張が乗っていて、それをずっと不思議に思っていた。あんなに仲がいいのに!ちょっと悔しいような気もするけど、元気のないリっくんを見るのはもっといやだった。
なにがあったかわからないけど、ヒロトくんなら大丈夫だと思うよ。少しだけ背中を押すみたいな言葉を出してみる。わからなくても、知ったようなことをいう。それくらいしてもいいよね。一瞬だけ驚いたリっくんは塗装が剥げたガンプラみたいで、それが困るんだけどね、と笑っていた。
12月 17, 2024